昨日のブログ(ありのままに生きるセミリタイアオヤジはダメなのか?)でも紹介した、山本一郎さんの「ありのままの自分でいい」とかいう馬鹿の甘えが老害を量産するという記事ですが、日経で連載されている日本証券業協会会長、元大和証券会長の鈴木茂晴氏の「私の履歴書」の連載について言及されていました。
山本一郎さんの本連載への言及は下記の通り。
壊れたバイクを海岸に捨てたり、株式注文キャンセルの注文をやりすごすために顧客に嘘をついたり、いまなら違法で一発アウトと言いつつ、武勇伝として昔はおおらかでしたと豪語されている。あ、この人はありのままに生きてきた人なんだな、って。そういう人が出世して、日本経済の枢要なポジションに就いているというのは、大丈夫なんでしょうか。
この内容は波紋を呼んでいるようで、例の内藤忍先生もブログで言及されています。
たしかに、いまのサラリーマンが許されない行為が昔は許された・・・
というのはあるし、少し前まではそうやってグレーゾーン、あるいはブラックの領域のことまでやって出世した経営者も実際にたくさんいました。
僕が会社に入ったころは、取引先のごみ箱を漁って機密情報を入手した営業マン、仕事中に風俗に通っていた社員、複数の派遣社員に同時に手を出していた男性社員、下請け会社からキックバックを貰ってそのお金でマンションを買った社員など、いろいろな社員のウワサが流れていました。
会社が、身元が良くわからない人に「顧問料」を支払っていましたが、その相手は反社会勢力だったというウワサもまことしやかに流れていました。
真偽は定かでないウワサも多いんですけど、それらが「武勇伝」として許容されていたところはあります。
多少は「不適切な行為」があっても、会社に利益を与えているから黙認しよう・・・という風潮はたしかにありました。
いまはそうはいきません。
ここ数年でも、僕の知っている人が何人も、パワハラやセクハラ、横領で会社をクビになったり、降格になったりしています。
つい最近も、面識のある人がパワハラで降格になっていました。
彼は、かなり優秀で、業界でも有名人で、メディアでも紹介されるほどの存在だったのですが・・・
前置き(?)が長くなってしまいました。
上記のようなことを目の当たりにして浮かんだのが「ウサギとカメ」の説話です。
この物語は、「地道にコツコツやれば、優れた人間にも勝つことができる」みたいなカメ側の視点から語られがちですが、ウサギ側の視点の物語もあるわけです。
「どんなに優れていても、慢心すると足元をすくわれるよ」という教訓なんですが、まさに最近はウサギの事例をたくさん目の当たりにするんですよね。
実際、足が速い(=能力が高い)ほど、失敗する可能性は高いのです。
そして、いまは有名になればなるほど、失敗したときの痛手は大きいのです。
いま話題のパワハラ、セクハラにせよ、無名の平社員であれば、懲戒を受けて終わり・・・で済むかもしれませんし、そこから再起できる可能性もあります。
後で出世したらしたで、「あの人、昔パワハラ/セクハラで懲戒になったらしいよ」みたいなウワサは流れるでしょうが、それもせいぜい社内や、一部の関係者の間くらいでしょう(だからやって良いということではないが)。
有名人たと業界から追放されたり、ネットで叩かれたり、最悪はメディアで報道されたりして、二度と表舞台に立てなくなる可能性もあります。
優秀な人間ほど、リスクに気を配って、ゴールまで気を抜かず、能力を最後まで活かし切るべき
という教訓がウサギとカメの説話には含まれていると思うのです。
そういえば、投資で成功してリタイアしている人は、ウサギタイプではなく、カメタイプが多いです。
浪費はせず、節約して堅実に資産を蓄積する。
1年に何倍にもなるような資産運用はしないが、リスクをしっかりコントロールして、10年~20年スパンで着実に資産を増やしている。
そんなやり方を取っている人が多いですね。
「ウサギはカメに負けることもある」、「カメでもウサギに勝てる」というのは、単なる教訓話ではなく、現実世界で実際に起きている話です。