労働

日本政府が外国人労働者の受け入れ拡大に動いていますが、色々な議論を読んでいますね。

池上彰氏「『外国人材』とは、移民と認めず使い捨てにする外国人労働者のこと」

とのことだそうです。

仰っていることは正しいと思いますね。

日本における外国人労働者(特にインターン)の待遇の悪さは報道でよく目にするようになりました。

ただ、これって日本だけの問題じゃないんですよね。

10月の1ヶ月間のヨーロッパ旅行で中欧・東欧を旅していたのですが、色々と気づくことがありました。
EUに関する報道は、西ヨーロッパの大国、具体的にはイギリス、フランス、ドイツ、イタリアあたりに立脚したものが多いのですが、周辺諸国からEUを見ると、全く違って見えます。

特に、サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)のホステルのスタッフの若い女性から聞いた話は考えさせられました。

私たちの国では、大学を卒業するのは大変で、かなり勉強しなければならない。
でも、卒業しても仕事がない。月収5000ユーロ程度で、ドイツ人が嫌がる仕事をやらざるを得ない。
大学でITを勉強して、優秀な成績で大学を出ても、看護師になったりしている。

同じサラエボのフリーツアーのガイドさんも似たようなことを言っていました。

日本に戻ってから、「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる 日本人への警告」(文春新書)を読んだんですが、これを読んで納得しました。

ドイツは、旧社会主義国の教育レベルが高く、人件費の安い人材を労働力としてすることで、経済力を蓄え、EUの覇権を掌握している・・・とのこと。
中・東欧諸国は、思った以上にドイツ語が普及しています。
国によっては、英語よりもドイツ語の方が使われていたりします。

こういう条件が整っているため、ドイツは中・東欧諸国から、質の高い労働力を低コストで確保することができます。
産業を発展させ、雇用を生み出すことができれば、マッチポンプで安く海外から労働力を調達できる。
自国民は、人件費の高い職業に優先的に就かせて、超過労働や低コストの労働は外国人にやらせればよい。

一方、ドイツに人材を取られた国々は、人口減少、人材不足を招いているるんですよね。

例えば、ポーランドの労働者の多くはドイツよりはイギリスに流れているみたいですが、人材流出した分はフィリピンなど、アジア人で補っているみたいで、玉突き現象が起きているんですね。

「ドイツ人は定時で帰るし、1ヶ月間休暇を取る。にもかかわらず、高い生産を維持できている」なんてことが言われて、日本人の働き方が如何に非効率的で、長時間労働が日本人を蝕んでいるかみたいなことが最近よく言われるわけですが・・・
ドイツ人の働き方が効率的で収益性が高いということ以外に、外国人労働者を安く使い倒しているというのは、実態としてありそうですね。
あと、ヨーロッパだけでなく、最近経済が好調で賃金も高騰しているオーストラリアやニュージーランドなんかもそうなんですが、農業生産性が高かったり、天然資源が豊富だったりして、あまり働かなくても収益が得られる国土があるんですよね。

欧米人の根源的な労働観として、「労働は神からの罰であり、苦行である」というのがあるそうで、「できるだけ働かなくて済むのが幸せ」という考えがあるそうです。
ちなみに、プロテスタントではこれが資本主義の原動力になったりしているわけですが、それは置いておきましょう。

英語で、「搾取」は”Exploitation”ですが、これには、「開発」「開拓」という意味もあります。
欧米人には「労働」よりも”Exploitation”によって、お金を儲けようという発想があるんだなあ、と思います。

具体的には、
・他人の労働力を搾取して儲ける
・自然を「開発」してそこから富を得て儲ける
・技術革新を起こして、機械に働かせて、労働力を削減して儲ける
・投資をして、お金を働かせてその収益で儲ける

みたいなことです。

日本でも「働き方改革」みたいなことが叫ばれていますが、「効率的に働く」という考えは強いですが、「搾取する」という考え方は弱いですね。
「働いて稼ぐことこそ尊い」という労働感があるからだと思いますが、資源も国土も狭く、1億人の人口を抱える日本では労働を効率化するだけでは、欧米やオセアニア諸国みたく豊かで余裕がある国にはならないと思うんですよね。

余裕のある生活は諦めてコツコツ真面目に働くか、自分以外の何かを働かせて利益を掠め取るか、日本人はいずれかの選択肢を迫られることになるんじゃないかと思いますね。
僕は、4番目の道を選んでいるわけですが。


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