老人

7月のはじめ、次のような記事を見つけました。

阿佐ヶ谷で半世紀続いた喫茶店が閉店 夫婦の新たな夢「美しい日本を見て回りたい」が感動呼ぶ

僕自身、この記事にほっこりして、ブログで取り上げようと思っていました。
つい、放置しているうちに、時間が経ってしまったのですが、昨日、こんな記事が出ていました。

オーナー夫婦が51年運営した喫茶店が閉店。美談や感動話への違和感の理由

うーん。

色々と考えさせられましたねえ・・・

半世紀以上にわたって喫茶店を経営してきた夫婦が、80歳でお店を閉めてリタイア。
「楽しいことが多くて、なかなか店をやめられなかった」とのこと。
「残された時間は2人で美しい日本を見て回りたいと思います」という閉店告知のメッセージも、人々の心の琴線に触れた様子です。

・人に喜ばれる仕事をしてきた
・仕事にやりがいを感じてきた
・夫婦仲が良い
・幸せなリタイア生活が期待される

みたいなところが、「良い話」と思えるポイントだと思います。

一方で、グルメジャーナリストの東龍氏が仰っていることも実に良くわかります。
ウチの実家も飲食店やっていますし、親戚はカフェ併設のパン屋をやっています。

有給休暇を取れる会社員と違って、店を休むと売り上げがゼロになる一方で、固定費は変わらないのです。
なので、なかなか休むのは難しいんですよね。
お客さんがコンスタントに来てくれれば良いけど、どうしても波はあるし、お客が減るととたんに経営が悪化します。

僕の知り合いにも、2名くらい脱サラして飲食店をやっている人がいます。
一人は親のお店の跡を次いで、もう一人は新たにお店を開店しました。
どちらも、経営は順調みたいですが、休みは取りづらいし、会社員時代よりも長時間労働だし、その割には収入も下がり、しかも収入は安定していません。

「人々に喜ばれる仕事」というのは事実ですが、逆に言うと、客に喜んでもらえないと潰れちゃうんですよね。

本人たちは、全く後悔しておらず、仕事は楽しんでいるようですが、その一方で「好きでなければ、とても務まりません」と言っていました。

そんなこんなで、この記事の夫婦のような生き方ってできそうで意外に難しいのかもしれませんね。

実際、この喫茶店の夫婦の2人のお子さんも会社員だそうですが、彼らも跡を継ぎたいとは思わなかったんですよね・・・

僕自身も親の飲食店の跡を継ごうという気持ちには、ぜんぜんなれなかったんですよね・・・

それで、記事を読んで「良い話だなぁ・・・」なんて思っているから、我ながらめでたいものですが。

こういう記事を読んで、会社員の人は、自分が仕事に喜びを感じられないことを卑下する必要は全然ないと思いますよ。
会社員時代は自分自身が、世の中というか、人々に対してどんな貢献をしているのか、僕の仕事が誰に喜ばれているのか、良くわかりませんでした。
いまは、会社を辞めて、個人として同じような仕事をしていますが、人から必要とされてもいるし、自分の仕事が人に喜ばれている(だからこそ、いま僕は雇われている)ということが良くわかります。
会社員のときは、それに気づかなかっただけなんですよね。

仕事に喜びを見出せるかどうかは、会社員か自営業かによる違いというよりは、人それぞれの心の持ち方の違いだと思いますね。
「会社員として定年まで働いて、退職金と年金を貰って、あとは悠々自適な生活を送ろう!」みたいな生き方が、この喫茶店経営の夫婦より劣った人生なんてことはないと思いますよ。

仕事がイヤで、すぐにでも会社を辞めたいけど、子供を学校にやらなきゃならないから辞められない。
そんな気持ちで仕事を続けている人も同様に、悪い人生とはいえません。
仕事を続ける明確な理由があるということは、むしろ幸せなことだといってよいかもしれません。

僕自身に関して言うと、休日はしっかり取りたいと思います。
あと、いくら好きでも80歳までは仕事したくないですね。
仕事以外にやりたいことは沢山あるし、80まで働いてしまうと、やりたいことが十分に出来ないままに死を迎えてしまうことになりそうです。

美談にはなり得ないけど、比較的若くして会社を辞めたけど生活には困らず、好きなことをやって生きていける自分の人生も悪くはない・・・と思っています。


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