仕事

橘玲さんの『上級国民/下級国民』を読みました。

タイトル通り、日本における社会階層の分断を論じた本です。

既存の文献や調査データに依拠したところが多く、橘氏の他の書籍と比べると、独自性に欠けるきらいはありますが、コロナ以降の労働問題を予見している(本書の出版は2019年)ところも大きく、示唆に富んだ内容ではありました。

また、この前の日曜にNHKスペシャルで、パンデミック 激動の世界(4)問い直される”あなたの仕事”という特集をやっていて、書籍と合わせて、色々と考えさせられました。

番組によると、日本企業でもコロナ以降はジョブ型雇用が広がっているそうです。

ジョブ型雇用は、職務内容や報酬を明確にし、それに対して最適な人材を起用するという制度です。有能な人ほど難易度、専門性の高い仕事をこなす必要がある反面、待遇も良くなります。実質的に成果型の雇用になるということになります。

これまで、日本企業はこれまでの仕事と関係ない部署に異動したりして、色々な仕事を経験しながら同じ会社の中でステップアップしていくのが通常のキャリアだったのですが、ジョブ型になると、専門性が要求されてきますから、「いろいろな部署で、いろいろな職種を体験してきた」というのは評価にはつながらないんですよ。

僕自身、仕事を辞めてからも仕事を受けられてきたのは「こいつにこの仕事を頼めば、こういうパフォーマンスを出してくれるだろう」明確なものがあるからです。ただ、会社員時代にそういう仕事ばかりしてきたわけでもないので、もっと専門性が高い人がいれば、その人に負けてしまいます。

僕が運が良かったのは、僕の専門領域が、ニッチで競争が比較的少ない分野で、しかも一定のニーズが存在していたことです。

だから何とか仕事もあるし、いまからは難しいかもしれませんが、会社を辞めた時点で転職しようと思えば、転職先も見つけることはできたはずです(待遇がどうなるかはさておき)。

「ジョブ型雇用」も良し悪しあって、自分の役割でない仕事を押し付けられて延々と長時間労働することも少ないし、専門スキルも磨きやすいんですが、成果が上げられないと、報酬が下げられたり、最悪クビになったりする。
正当な評価が得られれば良いのですが、そうでない場合も多いようで、「ジョブ型雇用だから評価は公正」とも言い難いところもあるようです。

いずれにしても、常に「自分を高く売る」ということを考え続けねばならず、それができない人は脱落していくことになります。

こういう働き方の前提に立つと、「アーリーリタイアは勝ち組」という発想は良く分かります。

若いうちから自分を高く売って、できるだけ早く稼げるだけ稼いで、市場価値の高いうちにラットレースから下りて、後は誰からの評価にも晒されず、好き勝手に生きる……

結局、歳とっても会社にしがみついていても、いつまでも高いパフォーマンスが上げられるわけではないし、マネージャー以上に上がらなければ(ただし、ポストは限られている)、頭が柔らかく、人件費も安い若者と同じ土俵で戦わなければならないので、それはそれでしんどいです。

年功序列で、不祥事でも起こさない限りはクビにはならず、出世はできなくても、仕事をしなくても一定の給料を支払ってくれるのであれば、「定年まで会社に居座ってやる!」という選択肢もあるんでしょうが、それもなくなるとなると、定年までラットレースに晒されることになります。

会社に残っても、少数の「勝ち組」に入れれば良いんでしょうが、そうでないなら早々にドロップアウトして好きなように生きた方が良いと思います。

まあ、このご時世、ドロップアウトするのも大変なんですけどねぇ。

改めて、自分がいかに恵まれているかを実感する今日この頃です。

 


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